やもめの言い分


 

 る年取ったやもめ、人にこんなことを聞かれた。
「お子さんはお持ちですか?」
 すると悲しそうにため息をついて、
「子供のことを聞かれるのが一番辛うございます。もう昔のことになりますが、妻の祖父が岳父、つまり妻の父に嫁をとることになり、話はすぐにまとまったのです。しかし、好事魔多し、思わぬ邪魔が入り、破談になってしまいました。結局、岳父は岳母、つまり妻の母と結婚することができず、従って妻を生むことも果たせず、したがって私の子供もここにはおらぬ次第で」

(清『笑林広記』)