胸を張る
ある男、新しい裙子(スカート)を穿いて出かけた。新品ということで、人に見せびらかしたくてしょうがない。思わずいつも以上に胸を張り、肩で風を切りながらのし歩いた。そのようにしてしばらく歩いていたのだが、後ろにつき従った童子にたずねた。 「見ている人はいるか?」 「おりませぬ」 するとホッと力を抜いて、 「誰も見ていないのなら、一休みするか」 (明『笑府』)
ある男、新しい裙子(スカート)を穿いて出かけた。新品ということで、人に見せびらかしたくてしょうがない。思わずいつも以上に胸を張り、肩で風を切りながらのし歩いた。そのようにしてしばらく歩いていたのだが、後ろにつき従った童子にたずねた。 「見ている人はいるか?」 「おりませぬ」 するとホッと力を抜いて、 「誰も見ていないのなら、一休みするか」
(明『笑府』)