大食の樹


 

 食(タージ)王国(注:現在のアラブ地域のこと)は西方にある。その海中に四角い石があり、石の上には多くの樹木が生えている。葉が赤く、枝の青いその樹には子供が成っている。長さ六、七寸(注:当時の一寸は約2.4センチ)で人を見ると笑って手足をパタパタと動かす。頭のところで枝に繋がっているのである。
 ただし、枝からもぐと、子供はたちどころに死んでしまう。

(六朝『任ム述異記』)