はよい香りを嫌う。中でも麝香(じゃこう)の香りは禁物である。
 太和(827〜835)初めに鄭注が河中(注:現山西省)へ赴任する時、姫妾(きしょう)を百数人伴った。姫妾達はすべて騎馬で、馥郁(ふくいく)とした芳香が数里の彼方まで漂い、人々の鼻を打った。
 この年、都から河中にいたるまで、鄭注一行が通過した地域の瓜は一本残らず枯死(こし)してしまった。

(唐『酉陽雑俎』)