木に縁って魚を求む


 

 魚(げいぎょ、注:サンショウウオのこと)は峡谷に棲む。一見鯰(なまず)のようであるが、四本の足と長い尾を持ち、木に登ることができる。日照りになると、水を口いっぱいに含んで山に上る。そして、草むらに身を潜めて、水を含んだ口をいっぱいに開く。水たまりと間違えた鳥が水を飲みに来ると、そのまま食ってしまう。その声は子供に似ている。
 鯢魚を調理する時は、まず木に縛り付けて鞭打つ。白い汁が汗のように流れれば無毒である。
 [魚内]魚(どうぎょ、注:サンショウウオのこと)は四川の雅州栄経水と西山の渓谷に棲んでいる。外見は鯢魚に似ていて足があり、木に登ることができる。声は子供の泣き声のようである。蜀の人はこれを食用にする。

 孟子は「木に縁って魚を求む」と言い、ありえないこととしているが、まだまだ物事には究めきれないことがたくさんあるようだ。
 天下は広大無辺、ありえないようなことがありえるものである。

(明『双槐歳鈔』)