血を返せ!


 

 七という看守がいた。朝鮮人参を盗掘した山東出身の死刑囚と懇意にしていた。刑に望んで、囚人は隠しておいた朝鮮人参と三十金を楊七に渡してこう頼んだ。
「刑が済んだら、オレの首をつないで棺に納めてくれ」
 楊七は約束を破り、死刑囚の死体を放置した。そればかりでなく、人血に浸した饅頭が肺病に効くことを知ると、早速、死刑囚の血を饅頭に浸して親戚に贈ることにした。
 家の近くまで来た時、楊七は突然、両手で自分の喉をつかんで叫んだ。
「血を返せ!金を返せ!」
 声を聞きつけた両親と妻子が駆けつけてみると、楊七はものすごい力で自分の喉を締め上げ、のた打ち回っている。怨霊をなだめるために紙銭を焼 き、僧侶を呼んで祈祷をあげた。

 楊七は自分で自分の首をねじ切って死んだ。

(清『子不語』)