機が張華に鮓(つけうお)を贈った。大勢の客が同席する中、張華は器の蓋を取って言った。
「これは龍の肉だね」
 客は誰一人信じなかった。すると、張華は笑って、
「酒を注いでみたまえ。不思議なことが起こるぞ」
 と言う。酒を注ぐと、鮓は五色の光を放って輝いた。
 帰宅した陸機が鮓を作った料理人に、材料は何の肉を用いたのか、とたずねた。料理人が答えるには、
「園中に積まれた茅(かや)の下で、一匹の不思議な姿をした魚を見つけました。これで鮓を作ってみたところとても美味しかったので、旦那様に献上したのでございます」
 とのことであった。

(六朝『異苑』)