半額


 

 る田舎者、蘇州へ買い出しに行くことになった。人から、
「蘇州では何でも倍額でふっかけてくるから、言い値の半額に値切るように」
 と忠告された。いざ、蘇州に繰り出し、呉服屋に乗り込んだ。反物が一匹、二両だと聞くと一両、一両半と言えば七銭五分という具合に値切った。これには呉服屋の主人、むっとして、
「あんたの相手をしてたんじゃ、こちとら商売上がったりだ。ようござんす、反物を二匹差し上げますから、さっさと出て行っておくんなせい」
 すると、田舎者、手を合わせて、
「いやいや、一匹だけで結構です」

(明『笑林』)