海神


 

 州(注:江蘇省)の趙都統は別名を趙馬児といい、かつて軍船を率いて山東へ救援に向ったことがあった。登州、莱州(注:ともに山東省)に至った時、進むことができなくなった。そのまま数ヶ月も足止めを食った。その時、不思議な光景を目にした。
 日が昇る時、海上に必ず全身真っ赤で青い目をした巨大な人の姿が現れた。その人は頭に日輪を戴いており、日が高く昇るにつれてその姿もともに 昇っていった。数ヶ月間、その姿が見られた。

(宋『癸辛雑識』)