黒松使者
『陶家瓶餘事』に言う。 玄宗が使用する墨は「龍香剤」と呼ばれていた。 ある日、玄宗は墨の上に動き回る物を見つけた。蝿かと思ったが、よく見てみるとそれは小さな道士であった。玄宗が叱りつけると、小道士は諸手(もろて)を上げて、 「万歳!」 と叫んだ。そして、こう言った。 「臣は墨の精、黒松使者でございます。およそ文ある者の墨には龍賓(りょうひん、注:墨の神)が十二人おります」 玄宗は霊妙なことと思い、この墨を文官に分け与えた。 (五代『雲仙散録』)
『陶家瓶餘事』に言う。 玄宗が使用する墨は「龍香剤」と呼ばれていた。 ある日、玄宗は墨の上に動き回る物を見つけた。蝿かと思ったが、よく見てみるとそれは小さな道士であった。玄宗が叱りつけると、小道士は諸手(もろて)を上げて、 「万歳!」 と叫んだ。そして、こう言った。 「臣は墨の精、黒松使者でございます。およそ文ある者の墨には龍賓(りょうひん、注:墨の神)が十二人おります」 玄宗は霊妙なことと思い、この墨を文官に分け与えた。
(五代『雲仙散録』)