瓶 盞 病


 

 飲みには朝晩もなければ、寒暑もない。楽しい時にも酔っ払うし、悲しい時でも酔っ払う。閑な時にも酔っ払えば、忙しい時でも酔っ払う。肴があろうがなかろうが、酒が美味かろうがまずかろうが、酒飲みにはそんなことはどうでもよい。質入れ、たかり、借金、かけ買い、酒を買うためなら手段は選ばない。
 毎日必ず酒を飲み、飲めば必ず酔っ払う。酔っ払うことを厭(いと)いもしなければ、貧しいことを悔やみもしない。

 俗にこれを瓶盞病(へいさんびょう)と呼ぶ。『本草』を端から端までめくっても、『素問』を仔細に調べても、つける薬は見つからない。

(宋『清異録』)