武帝の宝


 

 の武帝の塚には以前、玉の箱と杖が一つずつ納められていたという。西域の康渠(こうきょ)王が献上したもので、武帝は生前、いつも手元に置いて賞玩(しょうがん)していた。そのため、武帝が亡くなると、二つの品は副葬品として塚に納められた。
 その四年後、ある人が扶風(ふふう、現陝西省)の市場でこの二つの品を手に入れた。武帝の側近が見てみれば、確かに塚に納めた物である。売りに来た人の風貌をたずねると、武帝その人であった。

(六朝『異苑』)