虹 の 女


 

 『江表録』にこのような話がある。

 ある夕暮れ、首陽山(現河南省)に虹が下りてきて、谷川の水を飲んだ。その途端、虹は美しい女に変じた。魏の明帝はこのことを知ると、女を宮中に召しいれた。

 女は言った。

「わらわは仙女なるぞ。しばし人界に下ってきたのじゃ」

 明帝は女の容色に魅せられ、手込めにしようとした。女はその無礼な振る舞いに怒りの色を露わにした。突然、雷鳴のような激しい音がとどろいたかと思うと、女は虹と化して飛び去った。

(六朝『稽神異苑』)